《前編》

― メディアに興味を持ったキッカケ・テレビ局を目指したキッカケ

杉野：子どもの頃からテレビ番組が好きだったことです。特に『めちゃ×２イケてるッ!!』『とんねるずのみなさんのおかげでした』『ピカルの定理』などフジテレビのバラエティ番組が好きでした。お笑い芸人にはなれないけれど、面白い番組をつくる『制作』を仕事にできたらいいなという風に思い、大学生の時に本格的にテレビ局を志望しました。

田中：僕は小学校から大学までの期間、バンド活動をやってきた人生でした。自分の作ったもので、人々の生活に彩りを添えたい、それができた時には喜びを感じるというような学生生活を送る中で、「もっと大きいサイズでこれをやりたい！」と思ったのが、テレビ局を目指したきっかけです。
また音楽だけではなくて、写真を撮ったり、絵を描いたり、とにかくものを作ることが好きなインドア派だったので、そういうものの集合体、好きなことを全部できるのがテレビだなと感じ、志望しました。

田中さん仕事風景

― バラエティ番組制作に携わる中で

杉野：バラエティ番組と聞くと、芸人さんやタレントさんと仕事をするイメージが強いですが、僕が担当した『ホンマでっか！？ＴＶ』では大学の教授、企業の社長、医者など、バラエティ番組のイメージとは離れた職種の方々との出会いや、打ち合わせをさせていただいて得た学びが非常に印象深かったです。さらにそこで得た知識をさんまさんをはじめとした出演者の皆様に自分の言葉で説明できるようにしなければならないので、勉強はもちろん、常にアンテナを張って番組を制作していました。

田中：印象的だったのは『さまぁ～ずの神ギ問』で一緒になった師匠のような社員の教えです。番組制作にあたってセンスの方が大事と思っていたのですが、その上司はものすごくロジックで作るんです。よく「俺たちは笑いの天才じゃないし、芸人でもないから、とにかく一生懸命、まじめに『なぜ面白いのか』『面白くするにはどうしたらいいのか』というロジックを自分の中でどんどん蓄積して作るしかない」と言っていて。確かに自分が面白かったら芸人さんを目指していただろうし、僕らはあくまで会社員で、番組を作るという仕事だから、「真面目に取り組んだやつが勝つんだ」と今でも自分の根底に流れる考えができた瞬間でした。

― 『ＦＮＳ２７時間テレビ』について

田中：とにかく若い人に「テレビって面白いんじゃない？」と思ってほしくて番組を作りました。今回メインの番組になった『新しいカギ』がちょうどコロナが明けたタイミングで、学校に行く企画をたくさんやっていたんです。それで今回同じ『新しいカギ』チームで２７時間という長く、大きな看板で何かをする際に「テレビ番組で一番大きい祭りをやって、若い人がコロナで奪われた時間を取り戻そうぜ」と。

杉野：そして画面を通して「日本中の若者たちって元気なんだよ」と若者はもちろん、世代を問わず、上の世代の方々にも伝えたかったです。「俺も若い時こういう時代があったよな」とか「若い人たちが元気に楽しくしてる姿っていいよな」とか大人たちにも響いてほしいという気持ちでした。
番組が放送されるまでは本当に紆余曲折ありまして、当初予定していたタイムテーブルと実際に放送されたそれとでは「学校かくれんぼ」以外ほぼ異なるんじゃないかというくらい変わりました。最初は２７時間もあるのだから自分たちが好きな番組とか見たいもの同士のコラボとかを考えたりしていたのですが、途中で「そうじゃないよな」と。「なぜこの『新しいカギ』という番組が２７時間の主体となるのか」「なぜメインＭＣの３組がこの企画をするのか」など色々と考えて、迷ったら「日本一たのしい学園祭！」になるのはどっちか、で決めていったという感じです。　

左：杉野幹典さん、右：田中良樹さん

　《後編へ続く…》